手書きで作る最速の「引き出し」

これは友人の、今現在実行している「顧客管理法」です。
その友人は40代、親から受け継いだ小売業を夫婦でやっています。私も以前、同じく小売業を自営でやった経験がありますので、その友人の話には共感も覚え、「自分もそうすればよかった」と、いまさらながら、勉強になることもたくさんあります。

店にとって顧客は神様。彼はそう言います。
私も心から、ほんとうにそう思います。その「神様」の情報は店の宝です。「宝」の管理、顧客管理をどうするか。

その友人は、情報カードを使っているそうです。
情報整理カードは一時、といってもずいぶん前になりますが、はやったことが確かありました。当時は最先端のシステムのように感じたものです。彼はそれを今も使っています。

手のひらサイズのカードにお客様の情報を書き記していく。一人一枚が出発点。
お付き合いが長くなるにしたがって当然、情報量は増えていきます。一枚で足りなくなったら新しい一枚に。複数枚になったらクリップでひとまとめにします。

コツは「初めは他のメモ用紙にメモっておいて、時間のある時にカードに清書すること」。
つまり、保存されたカードはすべて、きれいに清書された文字で書かれているということになります。彼はそれが大事なんだといいます。
書きなぐったような汚い字だと、読み返す気になれない。きちんと書かれた文字なら、何度でもいつでも、見返す気になるというわけです。

さらに感心したのは、「顧客の居住地域でカードの色分けする」というやりかたでした。
カードは五十音順で整理されています。居住地域によって色わけすることで、一目で、店の顧客の地理的分布が把握できる、というわけです。

ところで、なぜ彼がパソコンでなく、手書きにこだわるのかというと、「そのほうが記憶に残るから」。
私も短期間ではありましたが客商売をしていた経験から、これはまったくその通りです。

パソコンは情報処理にはすぐれていますが、その管理された情報がそのまま自分の記憶には、当然なりません。
記録した情報はできるだけ早く、臨機応変に取り出せなければ、実際には役に立たないのに、いちいちパソコンを頼らなければならなくなる。
頭では何も覚えていない、では意味がありません。
それは「情報」ではないのです。当たり前のことをつい忘れてしまうのが人の常。

情報は使うためにある。

こんな、こどもでもわかることを大人は忘れて、「情報のための情報」をパソコンに入れて満足してしまいがちなのです。
彼のようにカードに手書きで残す。
その前にメモ書きもしている。色分けするために、新しいカードに写しかえる。
こういう煩雑に思える手作業が、実は「記憶」という一番取り出しやすい引き出しを作ってくれる、というわけです。

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